従業員との面談業務は、もちろん当意即妙に行われるべきものであり、この流れに沿って実施すれば抜け漏れがない、定量的な評価が可能となる、などの正解はおそらく存在しないでしょう。しかし、従業員の状態をより正確に把握し、少しでも本音を引き出すための技法があります。
従業員に対する産業医のアプローチ方法について、あえて人事・労務担当者からアプローチ方法の要望を伝えたり、相談したりしてもよいのではないかと思います。
「従業員の状態を把握し、少しでも本音を引き出すための技法」は3つです。1. 面談に参加してくれた従業員に対し、素直に謝意を示す
面談に向き合う従業員は、とにかく不安な気持ちでいっぱいいっぱいになっています。そこに、「この面談機会に参加してくれて、ありがたく感じています」といった、丁寧な意思表示をこちらから示すことは、どんなアイスブレークよりも効果的です。
2. 共感の技法を多用する
「そんな風に考えていたのですね」「なるほど、分かります」「そういった気持ちにもなるのでしょうね」などの、受容的な表現をしっかりと用いることで、従業員の素直な気持ちを存分に引き出していきます。
3.自然と返答しやすくなる投げ掛けを行う。
例えば、「調子はどうですか?」といった抽象的な問いではなく、「気分的に明るかった日もあれば、なかなか活動的でなかった時もあると思います。ここ最近は、どのような心持ちでいましたか?」というように具体的な問いかけをしてみてほしいのです。この自然と返答しやすくなる投げ掛けを行うことで、従業員の方は「この人は自分のことを親身に考え、寄り添ってくれている」という安心感を持つことができます。